〒567-0801大阪府茨木市総持寺1丁目3-2
総持寺クリニックビル3階
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※電話受付:8:45~12:00 / 15:45~19:00 / 土曜日のみ 8:45~13:00
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最近運動会の練習の影響で未就学児、小中学生のお子さんの受診が増えています。「子どもが足首をひねって、外くるぶしが腫れている。でも歩けるから捻挫かな?」と迷った経験のある親御さんは多いのではないでしょうか。
スポーツや遊びの最中に足首をひねることは、子どもでは珍しくありません。その多くは足関節捻挫ですが、成長期の子どもでは、捻挫とほとんど同じ状況で「外果剥離(裂離)骨折」が起こることがあります。
外果剥離骨折は比較的安定した骨折で、多くは手術を必要とせず良好に治療できます。一方、初回のレントゲンでは分かりにくいことがあり、その後の再捻挫や足首の不安定感に関係する可能性もあります。
当院には多くの子供さんがけがで来院されます。その中で普通に歩いて来院されて、危うく見逃しそうになった外果剥離骨折の患者さんを直近2名経験しました。今回は、子どもの外果剥離骨折をどのように診断し、どのように治療するのかを解説します。
外果とは、足首の外側に触れる「外くるぶし」、つまり腓骨の一番下の部分です。
足首を内側にひねる、いわゆる「内返し捻挫」が起こると、外くるぶしにつながっている前距腓靱帯(ATFL)や踵腓靱帯(CFL)が強く引っ張られます。
大人では靱帯そのものが損傷することが多いのですが、成長期の子どもでは靱帯が比較的丈夫なため、靱帯に引っ張られた骨の一部が「かけら」のようにはがれることがあります。これが「外果剥離(裂離)骨折です。大部分はATFLの腓骨付着部で生じる剥離骨折です。大人なら捻挫になる力が小児では骨折として現れることがあるのです。
なお、外果剥離骨折と骨端線損傷:腓骨遠位骨端線損傷(Salter-Harris I型など)は同じものではありません。どちらも外くるぶし周辺が痛くなるため、診察では区別して考える必要があります。

外果剥離骨折でも、症状は一般的な捻挫と非常によく似ています。
外くるぶし周囲の腫れ、押したときの痛み、歩行時痛、皮下出血などがみられます。特に、外くるぶしの先端からやや前方・下方をピンポイントで強く痛がる場合には、剥離骨折を念頭に置きます。
ただし、歩けているから骨折ではない、腫れが少ないから骨折ではない、とは言い切れません。
米国放射線学会(ACR)の急性足関節外傷に関する基準でも、5歳以上では外果などの骨性圧痛や4歩歩けないといった所見があれば、まずレントゲン検査を行うことが適切とされています。
ここが小児外果剥離骨折の重要なポイントです。
剥がれる骨片は非常に小さいことがあり、場所的に通常の足関節2方向のレントゲン検査では骨折が分からないことがあります。
日本から報告された6~12歳の小児を対象とした研究では、外側足関節捻挫に伴う外果剥離骨折について、初診時レントゲンの感度は81%でした。つまり、この研究条件では一部が初回レントゲンで確認できませんでした。一方、超音波検査(エコー)の感度は94%で、レントゲンと同程度以上の診断能力を示しました。
ただし、これは「子どもの足首をひねったら全員エコーやMRIを行うべき」という意味ではありません。まずレントゲン検査をスクリーニングとして行なうのが重要です。重要なのはレントゲン撮影の方法です。
前距腓靭帯(ATFL)の付着部は、外果の前の縁にあたります。ATFL撮影は、この付着部に接線方向からX線を入れて描出する斜位撮影で、通常の2方向では見つからなかった剥離骨片が発見されることがあります。剥離骨折の診断だけでなく、治療経過で骨癒合を判定するうえでも必須とする報告があります。
基本は受傷状況、痛む場所、腫れ、歩行状態を診察し、必要に応じてレントゲンを行うことです。そのうえで、骨折が強く疑われるのにレントゲンでは分かりにくい場合、エコー、再度のレントゲン、MRIなどを症状に応じて検討します。
小さな外果剥離骨折だけを確認する目的で、通常放射線被ばくの多いCTを行う必要はありません。

子どもの足関節の骨折では、腓骨の遠位にある成長軟骨帯(骨端線)がすべる「骨端線損傷」も起こりえます。足関節は全身で橈骨遠位(手首)に次いで骨端線損傷の多い部位で、成長期の子どもには特有の注意点です。骨端線損傷が疑われる場合には反対側のレントゲン撮影を行なって比較することが有効です。成長障害を残さないためにも、小児の足関節の外傷は丁寧な評価が必要です。
レントゲンで外くるぶしの下に小さな骨が写った場合、それが必ず新しい骨折とは限りません。この場所には、生まれつき・成長過程でみられる「os subfibulare(腓骨下副骨)』という小さな骨が存在することがあります。また、過去の剥離骨折が癒合せず、小さな骨片として残っていることもあります。
そのため画像だけではなく、「今回どこを痛がっているか」「以前に同じ場所を捻挫していないか」などを合わせて判断することが大切です。必要に応じて超音波やMRIが鑑別の助けになります。
小さく、ずれがほとんどない外果剥離骨折は、一般に「低リスク足関節骨折」に分類され、多くは手術を必要としません。
痛みが強い時期には、歩行用ブーツや足関節装具、場合によってはギプスなどを使用して患部を保護します。安定した骨折では、痛みに応じて体重をかけながら治療できる場合もあります。
「骨折なのだから、必ず長期間ギプスで完全固定した方がよい」とも限りません。
2026年に発表された小児低リスク足関節骨折503例を含む系統的レビューでは、取り外し可能なブーツ・装具はギプスと比較して、通常の活動へ戻るまでの期間が平均約1週間短く、機能面や患者・保護者の満足度でも良好な傾向が示されました。ただし、骨片の大きさやずれ、痛みの程度、年齢、合併損傷によって適切な固定方法は変わります。「骨折だから全員ギプス」「小さい骨折だから固定不要」と一律に考えるのではなく、個々に判断することが大切です。
外果剥離骨折では、骨だけでなく足首の外側靱帯にも力が加わっています。
そのため痛みが軽くなった後は、足首の動きを戻すだけでなく、筋力や片脚立ちなどのバランス能力を回復させ、段階的にスポーツへ戻していくことが重要です。
復帰の目安は単に「骨折してから○週間」だけではありません。
痛みなく歩ける、走れる、片脚ジャンプができる、方向転換しても不安感がないなどを確認しながら復帰させます。
外果剥離骨折は、通常は重篤な骨折ではありません。しかし、「小さいから何も問題にならない」とも言い切れません。
日本の小児143例を対象とした前向き研究では、外果剥離骨折を伴っていた子どもでは、その後の再捻挫が44%にみられ、骨折を伴わなかった子どもの23%より多いという報告があります。また、剥離骨折のうち8週で骨癒合していたものは17%でした。
ただし、骨片がレントゲン上残っている=将来必ず痛みや不安定性が起こる、という意味ではありません。 症状なくスポーツを続けられる子どもも多くいます。
一方で、捻挫を何度も繰り返す、外くるぶしの下が長期間痛い、「足首が抜けそう」と感じる場合には、慢性足関節不安定症や症候性os subfibulareを評価します。
十分なリハビリや装具療法を行っても慢性的な痛み・不安定性が続くごく一部の症例では、骨片切除と外側靱帯修復などの手術が検討されることがあります。手術はあくまで保存治療で改善しない症候性のケースが対象です。
問診・触診・ストレステストなどで不安定性をチェックするなど状態を確認します。大まかな診断と鑑別診断を行ないます。
骨折が疑われ、必要だと考えられる患者さんにはレントゲン撮影を行ないます。小児では足関節2方向に加えてATFL撮影を含めた両側撮影を行ないます。医師の手間を省いて時間短縮することと、より質の高い画像をもとに正確な診断を目指して当院ではレントゲン撮影になれた放射線技師が全日程勤務しています(急な休みなどで出勤困難な日を除く)。レントゲンではわかりにくい骨折を疑う時、靱帯の評価が必要な患者さんにはエコー検査を行ないます。
骨折が判明した場合。重症度や年齢、活動性などに応じてギプス固定・シーネ固定・装具固定などを行ないます。免荷が必要で練習可能な患者さんには松葉杖指導を行ないます。長期固定が必要な患者さんで足関節の可動域低下が生じている場合にはリハビリテーションを行ないます。不安定性が残っている場合はエコー検査、場合によってはMRIを他院に依頼して撮影します。
小児外果剥離骨折は、足首をひねった際に外側靱帯に引っ張られ、外くるぶしの一部が小さく剥がれる骨折です。
見た目は一般的な捻挫と非常によく似ており、小さな骨片は初回レントゲンで分かりにくいこともあります。
多くは装具や短期間の固定などの保存治療で良好に経過し、手術が必要になることはまれです。一方、治療後には筋力・バランスを回復させ、再捻挫を予防することも重要です。
お子さんが足首をひねった後、外くるぶしを強く痛がる、体重をかけにくい、数日たっても腫れや痛みが改善しない、捻挫を繰り返しているといった場合には、「ただの捻挫」と自己判断せず、整形外科で一度評価を受けることをおすすめします。
成長期の足首では、骨折を見つけることだけでなく、治った後に安心してスポーツや日常生活へ戻れるところまで診ることが大切です。
歩ける骨折もあります。歩行の可否だけで骨折を否定することはできません。
多くの場合は安心材料になりますが、小さな剥離骨折は初回画像で分かりにくい場合があります。痛みや腫れが続く場合には再診してください。
小児では骨修復能力が高く、転位の少ない骨折では骨癒合が期待できる場合があります。一方で見逃された剥離骨片は、そのまま癒合せず残ってしまうことがあります。
一度なった治り残し(陳旧性)では、後々骨片の摘出や固定などの手術が必要になることもあります。前もって正しく診断・治療しておくことが何よりの予防です
必ずしもそうではありません。ずれの少ない安定した骨折では、取り外し可能なシーネ固定や歩行用ブーツで治療できる場合があります。
いいえ。画像上骨片が残っていても不安定性がなく、症状がなければ、通常それだけを理由に手術することはありません。慢性的な痛みや足関節不安定性が残る場合に、初めて追加治療を検討します。

中谷 宏幸
整形外科医、リウマチ医
整形外科専門医、日本リウマチ学会専門医・指導医。大阪大学医学部整形外科教室に入局リウマチグループに所属して、リウマチ医、下肢人工関節、足の外科医として基幹病院での勤務医を経て2022年なごみ整形外科リウマチクリニックを開業
リウマチ性疾患の薬物治療、関節疾患(特に下肢関節)ペインクリニック(エコーガイド下ブロック・ハイドロリリース)、骨粗しょう症治療、足・膝・股関節、小児整形、リハビリテーション
日本リウマチ学会奨励賞
ISTU(国際超音波治療学会)Young investigator`s awardなど