茨木市総持寺の整形外科・リウマチ・骨粗しょう症・リハビリ・ペインクリニック・スポーツ整形外科

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COLUMNコラム

2026.07.30

部活の練習後に毎回膝の下が痛い。テーピングで誤魔化していていい?

部活の練習後に毎回膝の下が痛い。テーピングで誤魔化していていい?

患者様

大学のサッカー部に入って3ヶ月ほど経ちます。練習後に毎回、膝のお皿の下あたりが痛くなります。押すと特に痛く、骨が出っ張ってきた気もします。テーピングを巻いて練習は続けていますが、これってオスグッドですか?このまま続けていて大丈夫でしょうか?

中谷院長

症状からはオスグッド病が強く疑われます。テーピングで痛みを抑えながら練習を続けることは、悪化・長期離脱のリスクがあります。大学生の場合は成長期が終わりかけているケースもあり、一度整形外科でレントゲンを撮って骨の状態を確認することをお勧めします。

オスグッド病は大学生にも起きる?成長期が終わっていても?

オスグッド病(オスグッド・シュラッター病)は、成長期のスポーツ選手に多い脛骨粗面の牽引性骨端症です。大腿四頭筋から膝蓋腱を介して脛骨粗面に反復牽引力が加わり、未成熟な骨端軟骨や二次骨化核に微小損傷、炎症、骨片形成が生じます。

単純な「膝の使いすぎ」ではなく、成長による組織の脆弱性とスポーツ負荷のミスマッチとして理解するのが重要です。オスグッド病は主に10〜15歳(男児:おおむね12~15歳 女児:おおむね10~13歳)の成長期に発症します。両側発症は約20~30%程度で、活動性の高い思春期児童では、約10%前後に発症するとの報告があります。一方で、成長が終わりきっていない大学1〜2年生(17〜19歳)でも発症・再燃するケースがあります。

また成長期に発症したオスグッド病を適切に治療せず、テーピングで誤魔化しながら競技を続けた場合、骨の付着部に変形や遊離骨片が残り、大人になってからも痛みが続く「オスグッド後遺症」につながることがあります。

本コラムで知っていただきたいのは「もう大学生だから成長痛じゃない」は危険な思い込みということです。

当院で実際に多い受診パターン

中谷院長

当院の近くに大学のキャンパスがあることもあり、大学生のスポーツ障害の受診が増えています。特に多いのが、中高時代からオスグッドの症状があったのにテーピングで乗り切ってきた選手が、大学入学後の練習量増加で症状が悪化して来院するケースです。レントゲンを撮ると脛骨粗面に遊離骨片が確認されることもあります。

テーピングは有効な対処方法のひとつであると考えられますが、あくまで一時的な対処法です。痛みが毎回出るということは、骨・腱への負荷が許容量を超えているサインです。早めに受診して骨の状態を確認してください。

毎回の練習後に膝が痛む。それ、放置しないでください。

オスグッド病に対する治療

オスグッド病に対する治療としては基本的には下記のような保存療法になります。

運動量の調整

すべてを禁止するのではなく、痛みが出ない範囲での練習継続を基本とします。強い痛みを我慢して続けることは骨・腱へのダメージを蓄積させます。鎮痛剤や湿布薬を適宜使用するとよいでしょう。

ストレッチ指導

足関節・膝関節・股関節の関節の硬さや大腿四頭筋・ハムストリングスの硬さが原因となっている場合があります。関節や筋肉の柔軟性改善が根本的な治療につながります。理学療法士が練習前後のストレッチプログラムを個別に指導します。

テーピング・サポーター

適切な素材・巻き方のテーピングやサポーターで脛骨粗面への負荷を分散します。自己流のテーピングは効果が不十分なことがあるため、受診時に正しい方法を指導します。毎回テーピングは面倒だし、適切な巻き方ができないと効果減弱してしまいます。オスグッド用のサポーターが有効な場合があります。

物理療法

炎症が強い時期は体外衝撃波(ショックウェーブ)や超音波治療(LIPUS)が有効な症例を多く経験します。継続的な治療で効果が得られる可能性のある治療法なので、運動しながらのメンテナンスに向いている治療です。リハビリと併用するとさらに効果的です。

ブロック療法

最も即効性が期待できる治療はブロック療法です。麻酔薬にステロイドを加えたり、プロロセラピーによる治療で比較的長期間の効果が期待できる可能性があります。エコーでドップラーシグナルの強い部位に注射するとより効果が得られます。当院ではエコーガイド下に腱へのダメージが少ないプロロセラピーを第一選択としています。

再生医療・バイオセラピーなど

採血した血液成分を抽出したり、培養して修復に有利な成分を抽出して同部位に注入する治療(バイオセラピー)が有用との報告があります。特に体外衝撃波との組み合わせが有効です。また、動脈に抗生剤を注入して痛みの原因になっているモヤモヤ血管を詰まらせて治療を行なう動注療法も効果が期待できます。再生医療・バイオセラピー及び動注療法は自由診療になります。

当院での実際の治療と予後判定

実際にはこれらの治療を組み合わせた治療が有効となります。組み合わせ方法に関してはまだまだエビデンスに乏しいですが、治療の順番としては上部の治療から徐々に治療強度を強化してゆきます。痛みの強さの評価が主な治療効果判定につながりますが、エコー検査でドップラーシグナルの強度の推移も治療効果の指標になります。当院では上記すべての治療が可能です。

鑑別すべき疾患

実はオスグッド病を含めた膝周囲全面の痛みはAnterior knee pain(前膝部痛)と言われており、様々な疾患の可能性があり、診断に難渋することが多いです。Anterior knee painは疾患名ではなく、膝蓋骨周囲・膝蓋骨後面・膝蓋腱・脛骨粗面などに生じる疼痛の総称です。その中で、特にオスグッド病と鑑別すべき疾患は若年者の同部位での障害でアスリートに多いのは膝蓋腱炎です。オスグッドよりもやや近位、膝蓋腱に痛みが生じる病態です。多くは下肢に過剰な負荷がかかるオーバーワークが原因です。レントゲンと痛みの部位で鑑別が可能です。膝蓋下脂肪体炎滑液包炎もよく見られる疾患です。膝蓋腱炎よりもう少し奥の方に痛みを訴えることが多いです。鑑別にはエコーやMRI検査が有用です。長引く膝前面の痛みは、単に使い痛みと思いこまないで、一度整形外科の受診をお勧めします。

どのタイミングで受診すべきか?

状況対応
練習後に毎回膝の下が痛む受診を推奨
押すと特定の1点が強く痛む早めに受診
膝の下に骨の出っ張りが出てきた早めに受診
テーピングをしても痛みが出る悪化リスクあり、受診を
中高生のころからずっと痛いオスグッド後遺症の可能性、受診を

まとめ

「大学生だから成長痛じゃない」は間違いかもしれません。早めの受診を。

よくあるご質問

オスグッドのテーピングは自分で巻いていいですか?

市販のサポーターやテーピングは補助的に使用できますが、巻き方・位置が適切でないと効果が出ないだけでなく、血流障害を引き起こすこともあります。受診時に正しい方法を指導しますので、一度確認されることをお勧めします。

オスグッドで手術が必要になることはありますか?

成長期が終わっても遊離骨片による痛みが残存する場合、骨片摘出術を検討することがあります。ただし手術になるケースは少数で、多くは保存療法で改善します。

オスグッドは完治しますか?

成長期が終われば骨が成熟し、多くのケースで症状は自然に落ち着きます。ただし適切な治療をせずに放置すると、大人になっても運動時痛が残る後遺症につながることがあります。早期に適切な治療とリハビリを行うことが完治への近道です。

整形外科とスポーツ整形外科は何が違いますか?

スポーツ整形外科は一般整形外科の専門領域のひとつで、競技復帰を目標とした治療・リハビリに重点を置いています。当院はスポーツ整形外科にも対応しており、「治すだけでなく早期に競技復帰する」ことを目標とした治療を行っています。

この記事を書いた人

中谷 宏幸
整形外科医、リウマチ医

整形外科専門医、日本リウマチ学会専門医・指導医。大阪大学医学部整形外科教室に入局リウマチグループに所属して、リウマチ医、下肢人工関節、足の外科医として基幹病院での勤務医を経て2022年なごみ整形外科リウマチクリニックを開業

専門分野

リウマチ性疾患の薬物治療、関節疾患(特に下肢関節)ペインクリニック(エコーガイド下ブロック・ハイドロリリース)、骨粗しょう症治療、足・膝・股関節、小児整形、リハビリテーション

受賞歴

日本リウマチ学会奨励賞
ISTU(国際超音波治療学会)Young investigator`s awardなど

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