茨木市総持寺の整形外科・リウマチ・骨粗しょう症・リハビリ・ペインクリニック・スポーツ整形外科

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COLUMNコラム

2026.05.28

捻挫したけど病院に行くべき?テーピングで様子を見ていい?

捻挫したけど病院に行くべき?テーピングで様子を見ていい?

患者様

サークルの練習中に足首をひねってしまいました。その場では歩けたのでとりあえずテーピングして練習を続けたのですが、翌日も痛みと腫れが残っています。骨折ではなくただの捻挫だと思うのですが、病院に行かなくてもテーピングで様子を見ていいですか?

中谷院長

「歩けたから骨折ではない」は誤りです。捻挫と骨折は自己判断できません。腫れや痛みが翌日も続いているなら、一度整形外科でレントゲンを撮ることを強くお勧めします。放置して悪化させる患者さんが多い症状のひとつです。

捻挫とは何か?なぜ「歩けるから大丈夫」は危険なのか?

捻挫とは、関節を支える靭帯が引き伸ばされたり、部分的・完全に断裂した状態です。足首の捻挫は整形外科の中でも非常に多い外傷で、スポーツ中・日常生活を問わず発生します。

「歩けたから骨折ではない」と思い込む方が多いですが、これは誤りです。骨折していても歩ける場合がありますし、靭帯が完全断裂している重度の捻挫でも歩行できることがあります。

最も多い受傷機転は足の裏が内側を向くようにひねる「内がえし捻挫」です。このとき、足首の外側を支えている靱帯(じんたい)が引き伸ばされたり、一部または完全に切れてしまったりします。特にダメージを受けやすいのが、「前距腓靱帯」という靱帯です。その他前脛腓靱帯や外がえし捻挫で生じる三角靱帯損傷が損傷を受ける可能性が高いです。

診断は触診、徒手的ストレス検査を行ない、レントゲンで骨折の有無を確認し、靱帯損傷が疑われる場合エコー検査を行ない、靱帯損傷の有無を精査します。症状が強い場合、原因が不明な場合はMRI検査やレントゲンでストレス撮影を行なうことがあります。

捻挫の重症度分類

グレード状態目安の回復期間
Ⅰ度靭帯の伸張(断裂なし)1〜2週間
Ⅱ度靭帯の部分断裂3〜6週間
Ⅲ度靭帯の完全断裂6〜12週間以上

グレードⅡ〜Ⅲは適切な固定・リハビリなしで放置すると、慢性的な足首の不安定感(何度も捻挫を繰り返す状態)につながります。特にⅢ度の靱帯損傷で痛みや不安定性がある場合は手術療法が必要な場合があります。

当院で実際に多い受診パターン

中谷院長

捻挫で来院される多くの患者さんは受傷直後に来院されますが、問題となる症例で多いのが、『1〜2週間様子を見ていたが良くならなかった』というケースです。初期にしっかり固定・安静にしていれば早期復帰できたものが、テーピングで動き続けた結果、靭帯損傷が重症化しているケースも珍しくありません。また、捻挫だと思っていたら腓骨骨折や第5中足骨(足の外側の骨)の骨折だったというケースも多く、レントゲンなしの自己判断は危険です。当院では受診当日にレントゲン撮影を行い、骨折の有無と靱帯損傷が疑われる場合にはエコー検査で靭帯損傷の程度を確認した上で治療方針をお伝えします。

痛みと腫れが翌日も続いているなら、早めに受診を。

当院での治療方針

RICE処置(受傷直後の応急処置)

Rest(安静)・Ice(冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)の4つが基本です。受傷直後に適切なRICE処置を行うことで、腫れと痛みの悪化を抑えられます。

固定

重症度に応じてテーピング・サポーター・シーネ固定・ギプス固定を行い、損傷がある場合は松葉杖を使用して免荷することが望ましいと考えます。自己判断のテーピングは固定力が不十分なことが多く、適切な素材・巻き方での固定が重要です。

リハビリテーション

長期間に及ぶ固定が外れた後は、足首周囲の筋力回復と関節の可動域改善のためのリハビリが必要です。当院の理学療法士が競技復帰に向けたリハビリプログラムを個別に組みます。捻挫後のリハビリを適切に行わないと、同じ部位の捻挫を繰り返す「慢性足関節不安定症」になるリスクがあります。

スポーツ復帰のGOサインを出す基準

「痛みがなくなったから」という理由だけで自己判断で復帰してはいけません。スポーツの種類や活動性によって異なりますが、以下の基準をクリアしているかを確認します。

  1. 左右を比べて、足首の関節の動き(可動域)に左右差がないこと
  2. 片足立ちでグラつかずにキープできること(バランス機能の回復)
  3. ダッシュやジャンプ、カッティング(急な方向転換)をしても不安感がないこと

これらを段階的にクリアしていくことで、再発リスクを最小限に抑えることができます。

スポーツ再開時は複雑な運動を避け、足関節の安定化と再発予防のためサポーターを装着することが望ましいと考えます。

どのタイミングで受診すべき?

状況対応
受傷直後・歩けないすぐに受診
翌日も腫れ・痛みが続く早めに受診
歩けるが体重をかけると痛い受診を推奨
1週間たっても改善しない必ず受診
過去に同じ部位を何度も捻挫している慢性化の可能性、受診を

まとめ

捻挫を甘く見ず、早めの受診が早期復帰への近道です。

よくあるご質問

捻挫にシップと市販の痛み止めで対処してもいい?

応急処置としては問題ありませんが、靭帯損傷の程度が確認できていない状態での対処療法には限界があります。痛みが2〜3日以上続く場合や腫れが強い場合は、整形外科での診断をお勧めします。

捻挫で松葉杖は必要ですか?

重症度によります。グレードⅡ以上の捻挫で体重をかけると強い痛みがある場合、患部への負荷を減らすために松葉杖が有効です。当院では必要に応じて松葉杖の貸し出しも行っています。

捻挫後、スポーツにはいつから戻れますか?

グレードⅠであれば1〜2週間、グレードⅡは3〜6週間が目安ですが、リハビリの進捗によって個人差があります。痛みがなくなっても靭帯が完全に修復されるまでには時間がかかるため、医師の判断なしに早期復帰することは再受傷のリスクがあります。

足首以外の捻挫(手首・膝など)も整形外科で診てもらえますか?

はい、足首以外の捻挫・靭帯損傷も対応しています。膝の靭帯損傷(前十字靭帯・内側側副靭帯など)は特に重症化しやすく、早期診断が重要です。

靱帯損傷を放置するとどうなりますか?

ひねった直後は強い痛みや腫れ、内出血が出ます。2度~3度の靱帯損傷を放置して靱帯が緩んだまま(ゴムバンドが伸びきった状態)で修復されてしまうと、足首の関節がグラグラになってしまう可能性があります。

その結果、

といったリスクが高まります。初期の段階で「しっかり治す」ことが、一生モノの足首を守るために不可欠なのです

この記事を書いた人

中谷 宏幸
整形外科医、リウマチ医

整形外科専門医、日本リウマチ学会専門医・指導医。大阪大学医学部整形外科教室に入局リウマチグループに所属して、リウマチ医、下肢人工関節、足の外科医として基幹病院での勤務医を経て2022年なごみ整形外科リウマチクリニックを開業

専門分野

リウマチ性疾患の薬物治療、関節疾患(特に下肢関節)ペインクリニック(エコーガイド下ブロック・ハイドロリリース)、骨粗しょう症治療、足・膝・股関節、小児整形、リハビリテーション

受賞歴

日本リウマチ学会奨励賞
ISTU(国際超音波治療学会)Young investigator`s awardなど

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