茨木市総持寺の整形外科・リウマチ・骨粗しょう症・リハビリ・ペインクリニック・スポーツ整形外科

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COLUMNコラム

2026.06.29

父が転んで腰を痛めた。圧迫骨折かどうかはどうやってわかる?

父が転んで腰を痛めた。圧迫骨折かどうかはどうやってわかる?

患者様

78歳の父が庭で転んで腰を痛めました。歩けてはいるのですが、腰に強い痛みが続いています。
父は「湿布を貼れば治る」と言って病院に行きたがりません。

圧迫骨折の場合、どんな症状が出るのでしょうか?歩けても骨折していることはありますか?

中谷院長

基本的にはぎっくり腰と圧迫骨折を症状から見分けることは困難です。歩けていても圧迫骨折している場合があります。
高齢者の転倒後の腰痛は、骨粗しょう症を背景にした圧迫骨折が非常に多く、放置すると骨がさらに潰れて変形が進みます。「歩けるから大丈夫」と判断せず、転倒後の腰痛が続く場合は必ずレントゲンで確認してください。

圧迫骨折とは何か?なぜ高齢者に多いのか?

圧迫骨折とは、背骨(椎体)が上下からの圧力で潰れるように骨折した状態です。若い人では強い外力がないと起きませんが、骨粗しょう症によって骨が弱くなった高齢者では、転倒・尻もち・くしゃみなどの軽微な衝撃でも発生します。時には明確な外傷なく生じるケースもあります(いつの間にか骨折)

発生しやすい部位は胸腰椎移行部(背中と腰の境目あたり)で、第11/12胸椎・第1/2腰椎が好発部位ですが、他の椎体でも発症する可能性があります。

圧迫骨折と「ただの腰痛」の見分けポイント

筋肉痛・ぎっくり腰圧迫骨折の疑い
きっかけ重いものを持ったり、ひねった時に生じやすいが、受傷機転がないこともしばしば。動作時に急に痛む転倒・尻もち・重いものを持った後
時に明確な受傷機転がないことも(いつの間にか骨折)
痛みの場所広い範囲、または限局した痛み背骨中央特定の1点を押すと強く痛むが、必ずしも痛みの部位と一致しないこともあり
動作時の痛み動くと痛む寝返り・起き上がりで激しく痛む
安静時楽になる時に安静にしていても痛みが続く
対象年齢全年齢特に70歳以上・骨粗しょう症がある人・両親に圧迫骨折の既往ある人

当院で実際に多い受診パターン

中谷院長

転倒後の腰痛で来院される高齢患者さんのレントゲンを撮ると、圧迫骨折が見つかるケースは決して珍しくありません。中には複数の椎体が骨折していても気づいていなかったという方もいます。

特に骨粗しょう症の治療を受けていない高齢の方は骨がかなり脆くなっていることがあり、転んだ直後は歩けても数日後から痛みが強くなるケースもあります。
お子さんが心配して親御さんを連れてくるケースも多く、そういった受診を歓迎しています。

受診時はレントゲンで骨折の有無を確認し、必要であれば連携医療機関でMRI検査を行います。痛みが強くて日常生活が困難な状態であれば入院可能な施設をご紹介します。

転倒後の腰痛、「様子を見る」は危険なことがあります。

当院での治療方針

安静とコルセット

骨折部への負荷を軽減し、骨折の進行や別部位の骨折を防ぐために骨折部位の安静を十分確保できるように受傷直後は採寸して作製した体幹装具(コルセット)を装着し、脊椎の安定を図ります。当院の装具外来でお体に合ったコルセットを処方・作製します。一般的に3か月程度コルセットを装着していただきます。一般的な既製品の腰椎ベルトは固定力としては不十分なため、あまり効果がありません。痛みのため自宅での生活が困難な場合は安静とリハビリのため、近隣入院が可能な病院で入院治療をお勧めします。

薬物療法

痛みに対する消炎鎮痛薬の処方に加え、骨粗しょう症が背景にある場合は骨折リスクを下げる薬(PTH製剤・ビスホスホネート製剤・デノスマブ等)を開始します。特にPTH製剤(フォルテオ、テリボン、オスタバロなど)は椎体骨密度上昇、骨癒合促進と鎮痛作用に優れています。圧迫骨折後、他椎体の骨折リスクは3~5倍、大腿骨近位部骨折は2~4倍上昇する(ドミノ骨折)うえに、死亡リスクは1個で1.2倍、2個で2.5倍、3個で4倍上昇するため、すぐに治療介入し、次の骨折予防が最重要課題です。

骨密度検査

脆弱性椎体骨折(立位から転倒した程度の外傷で生じる椎体骨折)が生じた時点で骨粗しょう症と診断されます。圧迫骨折を機に骨密度低下が発覚するケースが多いため、腰椎と大腿骨でのDXA法による骨密度測定を行い、骨粗しょう症の部位や程度に応じて治療方針を決定し、その後の定期的な骨密度測定を行い治療効果判定を行ないます。

リハビリテーション

コルセットが完成したら、なるべく早期から体幹筋力の強化と転倒予防のためのリハビリを開始します。再骨折予防として自宅での生活環境の見直しも指導します。

手術療法

痛みが強い場合、痛みが遷延する場合、レントゲン所見やCT/MRI所見で偽関節(骨癒合が得られず、骨折部が関節のように動く)になる可能性が高い場合は椎体に骨セメントなどを注入する椎体形成術をお勧めすることがあります。実際に骨癒合が得られず偽関節になった場合で強い腰痛や下肢麻痺症状がある場合、多椎体にわたる椎間固定術を要する場合があります。

親を受診させるために子どもができること

高齢の親が「大丈夫」と言って受診を渋るケースは非常によくあります。

具体的な声かけの例

「転んだ後の腰痛はレントゲン1枚で確認できるから、念のため撮るだけでも行こう」という切り出し方が受け入れられやすいです。

受診に付き添うことが重要です

高齢の親を一人で受診させると、医師の説明が十分に伝わらないことがあります。お子さんが同席することで、治療方針の理解と継続的な服薬管理がスムーズになります。

どのタイミングで受診すべきか?

状況対応
転倒後から腰が痛くなった(高齢者)歩けても受診を推奨。歩いて来院する骨折の方も多い。
安静にしていても腰が痛む早めに受診。体動困難ならば救急搬送が必要なことも。
背骨を押すと特定の1点が強く痛む早めに受診。骨折を疑います。
数日たっても痛みが改善しないぎっくり腰より痛みが遷延します。必ず受診。
下肢麻痺・排尿障害を伴うすぐに手術ができる病院受診。下肢筋力低下や排尿障害が生じた場合は緊急手術を要することもある。

まとめ

「歩けるから大丈夫」は禁物です。転倒後の腰痛は早めに整形外科へ

よくあるご質問

圧迫骨折はどのくらいで治りますか?

一般的な経過をたどれば3ヶ月程度でコルセット装着下での日常生活復帰が可能です。ただし骨が完全に癒合するまでには3〜6ヶ月かかることがあり、定期的なレントゲンで転位の有無や骨癒合を確認します。

圧迫骨折の治療に手術は必要ですか?

多くの場合は保存療法(コルセット・安静・薬物療法)で対応できます。ただし骨折が重度で神経症状(足のしびれ・麻痺)がある場合や、保存療法で痛みがコントロールできない場合は手術したほうがいいケースが多く、脊椎外科専門医への紹介を検討します。

圧迫骨折後に骨粗しょう症の治療を始める必要がありますか?

はい、非常に重要です。圧迫骨折を起こした方は次の骨折リスクが大幅に上昇します。骨粗しょう症の薬を開始することで次の骨折リスクを大きく下げることができます。「骨折したから今さら」ではなく、骨折後こそ治療開始のタイミングです。

MRIは必ず必要ですか?

時に陳旧性骨折(以前起こった骨折)か新鮮骨折(最近起きた骨折)か、加齢に伴う椎体変形によるものか判別が困難な場合があります。レントゲンだけでは古い骨折との区別がつきにくい場合があり、新鮮骨折かどうかの判断にMRIが有効です。当院では必要と判断した場合、連携医療機関へMRI検査のご紹介をしています。

椎体圧迫骨折を放置するとどうなりますか?

椎体骨折後十分な安静が保たれず、骨癒合が得られないで椎体骨折が進行した場合、さらに椎体の圧壊が進行し、偽関節が生じる場合があります。その場合痛みの遷延とさらに腰が曲がる(亀背)のような症状が生じる可能性があります。さらに椎体の圧壊が進行すれば徐々に下肢の筋力低下が進行し、歩行困難になる可能性があります(遅発性下肢麻痺)。その場合後方除圧と多椎間固定が必要になりますが、手術がうまくいっても麻痺が戻るとは限りません。

この記事を書いた人

中谷 宏幸
整形外科医、リウマチ医

整形外科専門医、日本リウマチ学会専門医・指導医。大阪大学医学部整形外科教室に入局リウマチグループに所属して、リウマチ医、下肢人工関節、足の外科医として基幹病院での勤務医を経て2022年なごみ整形外科リウマチクリニックを開業

専門分野

リウマチ性疾患の薬物治療、関節疾患(特に下肢関節)ペインクリニック(エコーガイド下ブロック・ハイドロリリース)、骨粗しょう症治療、足・膝・股関節、小児整形、リハビリテーション

受賞歴

日本リウマチ学会奨励賞
ISTU(国際超音波治療学会)Young investigator`s awardなど

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