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COLUMNコラム

2026.06.30

交通外傷後むち打ち治療中まだ首が痛いのに、保険会社から「治療は打ち切り」と言われた方へ

交通外傷後むち打ち治療中まだ首が痛いのに、保険会社から「治療は打ち切り」と言われた方へ

交通事故後の頸椎捻挫(むち打ち損傷)では、痛みが残っているにもかかわらず、保険会社から突然治療費支払い終了の話が出ることがあります。

このようなお悩みはありませんか?

しかし、その連絡が来たからといって、すぐに治療をやめなければならないとは限りません。
大切なのは、今の症状を整理し、主治医の判断を確認し、今後どう治療を続けるかを落ち着いて考えることです。

このような場合こそ、自己判断で通院をやめず、まずは主治医へ相談することが大切です。

なぜ保険会社は治療を打ち切りにするのか

保険会社は何の根拠もなく打ち切りにするわけではありません。理由は3パターンあると考えられます。

などが考えられます。一方で次のような材料があると継続判断につながりやすいです。

参考:日弁連交通事故相談センター

「治療打ち切り」と言われても、慌てないでください

保険会社から「そろそろ症状固定です」「治療費の支払いは終了になります」と言われると、不安になるのは当然です。

日本損害保険協会では、「症状固定」とはこれ以上治療を続けても症状の改善が見込まれないと判断することと説明しています。そして、その判断には被害者・医師・保険会社の間で十分な話し合いが必要とされています。
また、症状固定と認定される治療期間は一般的には3か月からと考えますが、明確に定義されているものではありませんし、保険会社が単独で決めるものではありません。

つまり、保険会社から一方的に連絡があったからといって、それだけで医学的に治療不要と決まるわけではありません。

まずしていただきたいのは、主治医への相談です

このような場面で、最初にしていただきたいことはとてもシンプルです。今もどのような症状が残っているのかを具体的に主治医へ伝えることです。主治医がまだ治療が必要と判断するなら、その意見は重視されます。

たとえば、次のような点を具体的に伝えましょう。

日弁連交通事故相談センターでも、保険会社から治療費打ち切りを言われた場合には、主治医の意見を保険会社に伝えて、治療費支払い継続を交渉することになると案内しています。

交通事故後の頸椎捻挫では、画像上は大きな異常がなくても、痛みや可動域制限、頭痛、しびれなどが続くことがあります。そのため、治療継続の必要性は、画像だけではなく、診察所見や使用している鎮痛剤の量や種類、症状の経過を含めて判断することになります。

日弁連交通事故相談センターは、治療終了時期がある程度見込める場合には、たとえば「あと1か月程度」などの見通しを保険会社に伝えることで、その期間に限って治療費支払い継続が認められることがあると説明しています。

突然打ち切りにならないために、継続が必要な医学的根拠を構築する

まだ症状が残っているのに治療を打ち切りにされないためには治療を継続するための医学的根拠が必要です。そのために以下の点が重要と考えます。

①定期的な受診、治療・診察頻度が重要

いくら症状が残っていてつらいと言っても、ほとんど治療を受けていなければ治療終了でいいとみなされても仕方ありません。医師の提案に沿って最低でも週1回の治療と定期的な医師の診察を受けましょう。当院では少なくとも2週間に1回の診察をお願いしています。

定期的な受診を行なうにはなるべく職場や自宅から近くて通院しやすいクリニックで、信頼のできる医師のいるクリニックを選びましょう。症状の重症度にもよりますが、この疾患に関しては有名だからと言って大きな病院のスーパードクターに受診したからといって急な改善が期待できるとは限りません。

②主治医との良好な信頼関係を構築し、治療期間について相談しましょう

今後の治療の見通しについて主治医と定期的に話し合いましょう。効果的な治療のためには患者さんと医療スタッフ間に信頼関係が重要です。医師は困っている患者さんの味方です。しっかり治療を受けていただいているのに十分な改善が得られていない患者さんを見ると申し訳なく思うし、少しでも状況がよくなるように応援したくなります。もちろん不満や意見を伝えててもいいし、医師に媚びへつらう必要は全くありませんが、医師やスタッフを味方につけることで気持ちよく通院出来て、いろんな意味で応援が得られるかもしれません。同時に、医療機関側も困っている患者さんに気持ちよく通っていただくよう努力すべきと考えます。

③必要な検査や身体的所見のチェックが必要

特に頸椎や肩関節周囲の可動域制限の有無や神経学的所見の異常があれば定期的に検査を受けましょう。特にしびれ感や筋力低下など神経学的所見に異常があったり、強い痛みが続いている場合は早めにMRI検査を受けておいた方がいい場合もあります。客観的根拠として画像所見に異常があって症状と合致すれば治療を継続する根拠となりえます。

打ち切りと言われた時に注意すべき事

①自己判断で通院をやめないでください

連絡を受けた時点でほとんど症状が軽快していて、終了で納得できているなら終了にしたい旨を主治医に伝えましょう。一方で保険会社からの連絡を受けて、「もう通ってはいけないのだと思った」「迷惑をかけると思って通院をやめた」とお話しされる方もいらっしゃいます。

ですが、まだ症状が残っているのに自己判断で通院を中止してしまうのはおすすめできません。

本当に必要な治療が中断されてしまうだけでなく、後から症状の経過や治療の必要性がわかりにくくなってしまうからです。

②治療費支払い継続が難しい場合は、健康保険での通院継続も選択肢です

保険会社との交渉をしても、治療費支払い継続が認められない場合はあります。その場合でも、治療を継続する方法が完全になくなるわけではありません。治療を続けて、その後継続分の治療費用を争うことができます。

日弁連交通事故相談センターでは、そのようなケースでは一旦自己負担で治療継続することになる場合があり、その際は健康保険を利用することが考えられると説明しています。

また、日本損害保険協会も、交通事故の治療でも手続きをすれば健康保険は利用可能であり、患者さんの経済的負担軽減につながる場合があると案内しています。

③健康保険を使うには手続きが必要です

交通事故治療で健康保険を使う場合には、通常の受診とは違う手続きがあります。日本損害保険協会によると、「第三者行為による傷病届」の提出が必要で、主な必要書類として以下が挙げられています。

打ち切りの話が出たら、健康保険に切り替えて通院継続できるかを早めに医療機関やご自身の健康保険組合へ確認しておくと安心です。

④診断書や後遺障害のことも、事前に相談しておきましょう

一般的には後遺障害認定を行なう時は症状固定の日に行ないます。たまに症状固定となった日のずっと後に認定を希望される方がいますが、正確な認定ができない可能できない可能性があります。また、後遺症認定は最後の1日だけ調子が悪いまたは調子が良すぎる状態を記録するのではなく、日常の診察状況との整合性が必要です。後遺障害認定を希望される場合は終了となる少なくとも1か月前にその旨を主治医に伝えましょう。希望する場合は日弁連交通事故相談センターは、健康保険を利用した場合、自賠責保険所定の用紙による診断書や後遺障害診断書などについて、不都合がないか事前に医療機関へ相談しておきましょうと記載しています。

通院中の病院が記載した後遺障害診断書が気にいらないと言って受診される方がまれにいますが、お勧めできません。症状固定時のみの状態で後遺症が決まるものではなく、数か月の治療の経過が分かるのは担当医だけです。実際に不備があるなら直接担当医に相談しましょう。万が一担当医師と信頼関係を築くのが困難そうで、相談が困難そうな医師なら早めに保険会社に相談の上、転院をお勧めします。

交通事故診療では、単に痛みを抑えるだけでなく、今後の書類対応も見据える必要がある場合があります。保険の切り替え前に、今後の診断書対応について確認しておくことが大切です。

⑤もし話し合いでまとまらない場合は、相談機関を利用することができます

患者さんご本人だけで保険会社とやり取りを続けるのは、大きな負担になることがあります。そのような場合には、中立的な相談窓口を利用する方法もあります。

交通事故紛争処理センターでは、交通事故の損害賠償をめぐる紛争について、法律相談・和解あっせん・審査を無料で行っています。

また、国土交通省も、保険会社とのトラブル時の相談先として、自賠責保険・共済紛争処理機構、そんぽADRセンター、保険オンブズマン、交通事故紛争処理センターなどを案内しています。

対応のポイント

  1. 主治医に今の症状を具体的に伝える
  2. 主治医が治療継続必要と考えるなら、その意見を保険会社へ伝える
  3. 終了見込み時期があれば、期間限定延長を相談する
  4. 認められなくても自己判断で通院中止しない
  5. 健康保険利用による継続治療を検討する
  6. 必要書類や診断書対応を事前に確認する
  7. 必要なら中立的な相談機関を利用する

まだ痛みがあるなら、一人で抱え込まないでください

頸椎捻挫(むち打ち損傷)は、見た目ではわかりにくい一方で、首の痛み、頭痛、肩こり、しびれなどが長引くことがあります。医師は困っている患者さんの味方です。しっかり治療を受けていただいているのに十分な改善が得られていない患者さんを見ると申し訳なく思うし、少しでも状況がよくなるように応援したくなります。

まだ治っていないのに保険会社から打ち切りと言われ、不安を抱えている方こそ、まずは現在のお身体の状態を確認することが大切です。

当院では自賠責保険に詳しい事務スタッフ、薬物療法やハイドロリリースをはじめとしたペインクリニックに精通した整形外科専門医による治療、充実した物療器具・リハビリスタッフが患者さんの痛み軽減のためスクラムを組んで対応に当たります。交通事故にあった際には是非一度当院にご相談ください。

この記事を書いた人

中谷 宏幸
整形外科医、リウマチ医

整形外科専門医、日本リウマチ学会専門医・指導医。大阪大学医学部整形外科教室に入局リウマチグループに所属して、リウマチ医、下肢人工関節、足の外科医として基幹病院での勤務医を経て2022年なごみ整形外科リウマチクリニックを開業

専門分野

リウマチ性疾患の薬物治療、関節疾患(特に下肢関節)ペインクリニック(エコーガイド下ブロック・ハイドロリリース)、骨粗しょう症治療、足・膝・股関節、小児整形、リハビリテーション

受賞歴

日本リウマチ学会奨励賞
ISTU(国際超音波治療学会)Young investigator`s awardなど

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