茨木市総持寺の整形外科・リウマチ・骨粗しょう症・リハビリ・ペインクリニック・スポーツ整形外科

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COLUMNコラム

2025.03.22

ブロック治療って本当に効果あるの?当院で行なっているエコーを使った新しいブロック治療を解説します

ブロック治療は、痛みを和らげるために神経やその周囲に局所麻酔薬ステロイドなどを注射する治療法です。

主に整形外科ペインクリニックで行われ、特に慢性疼痛や神経痛に対して有効です。『ブロック治療って効果はその時だけでしょう』と思っている方もいらっしゃいますが、特に慢性疼痛は脳に感作された痛みシグナルを一旦解除することによって、痛みを軽減することが期待できます。半年間根気よくブロック注射を行なって、少しずつ痛みを取って、ほとんど痛みがなくなったという症例も経験します。

『根本的な治療じゃなきゃ意味ないでしょう』と思っている方も多いと思いますが、もちろん手術などにより根本治療ができれば優先すべきですが、人によって症状の種類や程度は異なりますし、年齢や社会的バックグラウンドによって治療の目標が異なります。アスリートでは1日でも早く回復する必要があるので手術療法を優先する傾向にありますが、みんなが手術療法などの根本治療を希望されるわけではありませんし、どんな検査を尽くしても原因がわからない症状も少なからず存在します。対症療法になるかもしれませんがブロック療法は痛みに苦しむ人にとっては非常に有用です。

ある程度時間がたてば自然軽快が期待できる疾患も多く、その間いかに快適に過ごすかということを主眼にすれば、ブロック療法も重要な役割を担ってくれる可能性は十分に考えられます。

近年エコーを使ったブロック療法に関する多くのエビデンスが構築され、エコーガイド下に注射を行なうことによって、安全に効率よく薬剤を罹患部位に注入することが出来るようになるとともに、症例によっては今まで手術療法でしか治療できなかった疾患まで症状を改善することが出来ることが可能になりました。

ここでは、症状が遷延する難治性疼痛に対して当院でよく行なっている代表的なブロック治療の種類と詳細について説明します。

ブロック治療の目的

ブロック治療の主な目的は以下の通りです

代表的なブロック治療の種類

①トリガーポイントブロック

対象疾患

腰痛症、坐骨神経痛、頚椎症、頚肩腕症候群、筋肉痛

方法

・痛みの強いところに麻酔薬と時にステロイドやノイロトロピンを注入
・腰部や頚部~肩部に対して行なうことが多いですが、どの部位でも効果が期待できます

効果

・筋・筋膜性の痛みを和らげる
・狭い限局した痛み、特に急性期に効果的

治療後の過ごし方

・穿刺部の血腫やしびれ感が出ることがありますが、血腫は数日、しびれ感は数時間で軽快する
・痛みが和らいだ後も、適切なリハビリやストレッチを併用するとより効果的

②腱鞘内注射

対象疾患

上腕骨外上顆炎(テニス肘)、上腕骨内上顆炎(ゴルフ肘)、ドッケルバン病(母指腱鞘炎)、足底腱膜炎、アキレス腱周囲炎など

方法

原因となる部位の周囲特にエコーガイド下に麻酔薬とステロイド薬などを注入する

頻回のステロイド薬注射は組織にダメージを与えてしまう可能性があり、最小限にする       

上腕骨外上顆炎や足底腱膜炎への注射は局所麻酔薬とブドウ糖液を注入する(プロロセラピー)方法もあるので、ステロイド注射での効果が十分ではない方はそちらも考慮する             

腱及び腱周囲の炎症に対してはエコーを用いてドップラー陽性となる炎症部位に選択的に注入するとより効果が期待できる

効果

腱や腱を覆っている腱鞘の炎症を鎮静化させ、痛みを軽減させる

治療後の過ごし方

痛みが和らいだ後も、運動や機械的ストレスによって悪化する可能性がりますので、適切なリハビリやストレッチを継続することが重要

③神経根ブロック

対象疾患

頸椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症、脊柱管狭窄症・腰椎椎間板ヘルニアなどによる坐骨神経痛など

方法

・レントゲンやエコーを使って神経根を特定し、局所麻酔薬やステロイドを注射し、痛みを抑える

効果

・痛みに感作されている神経の痛みを和らげる
・短期間で効果が出ることが多く、長期間の持続効果が得られるかはケースバイケース
・肩関節周囲炎に対するサイレントマニュプレーションの時にはC5-6神経根をブロックすることによって、肩関節周囲の痛みを取ってマニュプレーション(受動術)をしやすくする

治療後の過ごし方

・施術後15~30分程度の安静が望ましく、当日は激しい運動を避ける
・頚部は神経血管が近くにあり、局所麻酔中毒細菌感染頚部膿瘍、頚部の血管を損傷してしまうことで起こる頚部血腫などの合併症には細心の注意が必要

④腰部硬膜外ブロック

対象疾患

腰痛症、坐骨神経痛、帯状疱疹後神経痛

方法

・側臥位で注射針を刺入し、注射液を注入しながら抵抗なく注入が可能になったところで脊髄を覆う硬膜の外側(硬膜外腔)に麻酔薬を注入(loss of resistance)
・安全面の観点から仙骨ブロックを優先

効果

・圧迫を受けている神経の炎症を和らげることにより痛みを軽減させる
・広範囲の痛みやしびれに効果的

治療後の過ごし方

・施術後15~30分程度の安静が望ましく、当日は激しい運動を避ける
・頭痛、感染、血圧低下、一時的な症状の悪化、一時的な下肢筋力低下やしびれ感増強に注意

⑤仙骨ブロック

対象疾患

腰痛症、坐骨神経痛、頚椎症、帯状疱疹後神経痛

方法

伏臥位でお尻を突き出すような形で寝ていただき、仙骨裂孔(尾てい骨付近)から硬膜外腔に麻酔薬とステロイド薬を注入                                    

仙骨裂孔がわかりにくい場合はエコーを併用すると楽に刺入が可能になる               

効果

・腰や下肢の痛みを和らげる
・体への負担が比較的少なく、腰部硬膜外ブロックと比較して安全性が高い

治療後の過ごし方

・施術後15~30分程度の安静が望ましく、当日は激しい運動を避ける
・頭痛、感染、血圧低下、一時的な症状の悪化、一時的な下肢筋力低下やしびれ感悪化に注意

⑥星状神経節ブロック

対象疾患

肩こり、頚部痛、帯状疱疹後神経痛、自律神経の乱れ

方法

仰臥位で頚部を固定し、首の前側にある「星状神経節」にエコーガイド下に局所麻酔を注射し、一時的に交感神経を遮断する

効果

・血流を改善し、自律神経を整える
・顔面や上肢の痛みに効果がある

治療後の過ごし方

・施術後15~30分程度の安静が望ましく、当日は激しい運動を避ける
・頸椎周辺には血管神経が豊富なため、注射後縮瞳・眼瞼下垂・眼球の後退などホルネル症候群の出現、局所麻酔中毒、細菌感染、頚部膿瘍、頚部の血管を損傷してしまうことで起こる頚部血腫などの合併症には細心の注意が必要

⑦ 筋膜リリース(ハイドロリリース)

対象疾患

筋筋膜性疼痛症候群(筋肉のコリによる痛み)

方法

エコーを用いて筋膜の間に生理食塩水や局所麻酔薬を注入

効果

・筋肉の緊張を緩和し、動きを改善
・肩こりや腰痛に効果的

治療後の過ごし方

・注射後当日は特にストレッチを入念に行なう
・痛みが和らいだ後も、適切なリハビリやストレッチを継続することが重要

 ⑧ハイドロリリース(神経周囲ハイドロリリース)

適応疾患

末梢神経の圧迫による神経痛(手根管症候群、肘部管症候群などの神経絞扼性障害)、坐骨神経痛、肩関節周囲炎における腕神経叢や肩甲上神経などへのアプローチ、モートン病(足趾の神経痛)など

方法

・エコーで神経の位置を確認して神経周囲の適切な場所に生理食塩水や低濃度局所麻酔薬を注入

効果

・神経の癒着や圧迫を軽減し神経の滑走を改善することで、痛みやしびれを改善
・神経機能の回復を促進

治療後の過ごし方

・当日は激しい運動を避ける
・痛みが和らいだ後も、適切なリハビリやストレッチを併用するとより効果が得られる

⑨関節内注射、関節周囲注射

対象疾患

腰痛症、変形性関節症、肩関節周囲炎、関節リウマチ、へバーデン結節、ブシャール結節など

方法

関節内及び関節周囲に局所麻酔薬とステロイド薬を注入

変形性膝関節症における膝関節内側半月板逸脱による痛みに対してMCL注を行なう

脊椎椎間関節由来の症状に対しては椎間関節ブロックが有効                  

効果

・関節内の炎症を和らげたり、水腫を軽減させ、痛みを軽減させる

治療後の過ごし方

痛みが和らいだ後も、適切なリハビリやストレッチを継続することが重要             関節内への注射は特に感染への注意が必要 

⑩仙腸関節ブロック

適応疾患

仙腸関節障害に伴う腰臀部痛、下肢痛

方法

・エコーガイド下に仙腸関節へ局所麻酔薬およびステロイド薬を注入

効果

仙腸関節への関節内注入によりに伴う腰臀部痛や下肢痛の軽減
・仙腸関節及び仙腸関節周囲に分布する末梢神経をブロック

治療後の過ごし方

・当日は激しい運動を避ける
・痛みが和らいだ後も、適切なリハビリやストレッチを継続することが重要

ブロック治療の注意点

一時的な副作用

・一時的なしびれや筋力低下が起こることがあります
アレルギー反応により悪心嘔吐、血圧低下や欠神発作など様々な症状が生じる可能性があります。歯科治療などによる麻酔薬の使用により不具合が生じた経験のある方はあらかじめ医師にお申し出ください
・極めて低い確率ではありますが、静脈内に麻酔を注入してしまうことで起こる局所麻酔中毒、注射針を刺した部分から細菌が入ってしまうことで起こる細菌感染膿瘍形成、血管を損傷してしまうことで起こる血腫などの合併症が起こりえます
・注射に伴う迷走神経反射(注射の痛みや極度の緊張などにより気分不良、嘔気・嘔吐、血圧低下など)が生じる可能性があります。経験のある方はあらかじめ申し出てください
・ステロイドは強力な抗炎症効果がありますが、短期的な頻回使用は組織にダメージを与え、糖代謝を悪化させるので控えるべき
・まれに神経損傷によるしびれ感や痛みが残存する可能性があります                 

・発熱、睡眠不足、体調不良な時はブロック療法を中止しましょう

効果の持続期間

・数時間~数週間の効果が期待できますが、繰り返し治療が必要な場合があります
・1回の注射で劇的に改善する場合がある一方、効果が十分に期待できないこともあります

まとめ

ブロック治療は、神経や筋肉に作用し、痛みを緩和する効果的な治療法です。

根本的な原因がわからなくても、原因となっている神経や筋肉、腱の種類と罹患場所がある位程度わかっていれば効果が期待できます。

ハイドロリリースをはじめエコーを併用して注射することにより、神経や血管の同定が容易になり、安全で効果的、かつ短時間低侵襲での治療が可能となりました。

一方でブロック療法単独では効果が十分ではないこともあり、鎮痛剤などの薬物療法とリハビリテーション、心理的アプローチを併用することによって効果が発揮できる場合もあります。

治療法によって効果の持続時間や適応疾患が異なるため、医師と相談しながら最適な治療を選択しましょう。

他にも上記には書ききれないたくさんの種類のブロック療法があります。当院では豊富な臨床経験から安全かつ効果的なブロック療法をご提供できるように努めております。様々な部位での長引く痛みでお困りの方は諦めずにお気軽にご相談ください

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