茨木市総持寺の整形外科・リウマチ・骨粗しょう症・リハビリ・ペインクリニック・スポーツ整形外科

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NECK PAIN首の痛み

首の痛みNECK PAIN

こんな症状ありませんか?

  • 首が痛い
  • 首が凝っている
  • 首が動かない
  • 首が張っている
  • 首から手がしびれている

このような症状やお悩みがある方は当院にご相談ください。

MEDICAL TREATMENT当院の診療について

当院は症状に応じてレントゲンや超音波機器(エコー)、血液検査、必要な患者さんには他院でMRIやCT撮影を行い、痛みの原因を可能な限り正確に診断致します。


首の痛みには、上肢や下肢の疼痛やしびれを伴う場合があります。
こどもの首の痛みでは、斜頸、頚椎回旋位固定に注意が必要です。

リハビリテーションでは牽引治療、温熱療法を提供、ペインクリニックでは鎮痛剤やブロック療法、エコーガイド下ハイドロリリースを提供します。

首の痛み

DISEASE代表的な疾患

頚椎症性神経根症

頚椎症性神経根症とは
頸椎症(cervical spondylosis)とは一般的に頸椎の退行性変性つまり加齢性変化を指し、頚椎症性神経根症(Cervical spondylosis Radiculopathy) は、頚部(首)の椎間板、骨、またはその他の組織が変性し、これが頚椎(首の骨)から出てくる神経根を圧迫または刺激する状態を指します。それによって神経根が圧迫されて頸部から上肢のしびれ感や痛み、時には筋力低下が生じる疾患を頚椎症性神経根症と呼びます。
原因
椎間板ヘルニア:
椎間板は脊椎骨の間に位置しており、クッションの役割を果たしています。椎間板が変性し、その中心部が外向きに突出すると、この突出部が神経根を圧迫する可能性があります。

骨棘:
脊椎の変性や損傷により、骨の表面に骨の突起(骨棘)が形成されることがあります。これが神経孔で生じると近くの神経根を圧迫する場合があります。

椎間関節変性:
脊椎の関節が変性や肥大化することで、関節の間のスペースが狭くなり、神経根が圧迫されることがあります。

外傷:
交通事故やスポーツなどの外傷によって、脊椎や近くの組織が損傷し、その結果として神経根が圧迫されることがあります。

腫瘍:
脊椎やその周辺に腫瘍が成長すると、これが神経根や脊髄を圧迫する可能性があります。
検査所見
初めに、病歴を聞き、身体検査を行います。症状、その発症の状況、過去の健康問題などについて質問されることが多いです。

神経学的評価:
筋力、反射、感覚などを評価するための様々なテストが行われることがあります。ジャクソン・スパーリングテストが陽性になることが多いです。

X線検査:
骨構造に異常がないかを確認するためにX線が撮影される場合があります。頸椎斜位像では神経根の狭小化を認めます。

MRI検査:
MRIは、椎間板や神経根、脊髄などの軟部組織も詳細に見ることができるので、神経根がどのように圧迫されているのかを詳しく調べます。

CT検査:
CTも高解像度の画像を提供できるため、骨の異常や骨棘、脊椎の狭窄などを詳しく調べます。

筋電図や神経伝導速度テスト:
神経や筋肉の機能を評価するこれらのテストも、場合によっては行われることがあります。

血液検査:
炎症、感染、あるいは他の一般的な健康状態を評価するために血液検査が行われることもあります。
症状
頚部の痛み:
頚部に痛みが生じる場合が多く、その痛みが肩や上腕に放散することもあります。

しびれや感覚の異常:
一般的には片側性の指、手、腕、肩周囲にしびれやピンとくる感覚が現れる場合があります。

筋力低下:
圧迫された神経根が支配する筋肉に力が入らなくなる場合があります。

反射異常:
該当する神経根が関与する腱反射が減弱または亢進することがあります。

肩や腕の痛み:
頚部から肩、腕にかけて痛みが放散することがよくあります。

頭痛:
頚部の痛みが頭に放散することがあり、特に後頭部に痛みが現れる場合があります。

巧緻性障害:
手の器用さの低下細かい作業が難しくなる場合があります。
治療
一般的に多くは自然軽快する症例です。

■保存療法
軽い前屈位を保つことが重要です。

薬物療法:
非ステロイド性抗炎症(NSAIDs)やリリカやタリージェなど末梢神経障害性疼痛治療薬としての鎮痛剤が痛みの緩和に使われることがあります。

物理療法:
牽引療法、温熱療法、ストレッチ、筋力トレーニング、および他のエクササイズが、頚部の筋肉を強化し、柔軟性を向上させる手助けをすることがあります。

トリガーポイント注射:
炎症と痛みを緩和するために、直接患部に麻酔薬やステロイドを注射する場合もあります。

■手術的治療
保存的治療が効果を示さない、または症状が重度である場合には、手術が検討されることがあります。

頚椎椎間板摘出術:
圧迫された神経根を解放するために椎間板を取り除く手術です。

頚椎椎間孔拡大術:
椎弓形成術など頚椎の後方侵入手術と併用して、神経根または脊髄を圧迫している骨やその他の組織を除去します。

頚椎固定術:
圧迫された神経根の解放と頚椎の安定化を目的として、骨を固定する手術もあります。

人工椎間板置換:
頸椎椎間板ヘルニアの症状の原因である神経圧迫因子を取り除いた後、「頸椎人工椎間板インプラント」を椎間板に埋め込む方法です。前方固定術と比較して首の運動機能が失われるリスクが少ない
隣接椎間障害(椎間板を固定することで狭窄やヘルニアが発症しやすくなる障害)のリスクが少ないなどが挙げられますが、まだ手術できる施設が少ない新しい手術です。
鑑別診断
頚椎症性脊髄症:
頚部の脊髄が圧迫される状態で、症状は頚椎症性神経根症と重なることがあります。

末梢神経障害:肘部管症候群や手根管症候群、胸郭出口症候群など、他の部位の神経障害も同様の症状を引き起こすことがあります。

頚肩腕症候群:
筋肉の緊張や筋肉の痛みも、しびれや痛みを引き起こすことがあります。

胸郭内の問題:
一部の心臓の問題(例:狭心症)や呼吸器疾患は、腕に痛みを引き起こすことがあり、神経根症と誤診される可能性があります。

肩関節周囲炎:
これらの疾患は、肩や腕に痛みや不快感を引き起こす可能性があります。

腫瘍:
頚部や胸部の悪性腫瘍は神経根を圧迫する可能性があり、類似の症状を引き起こすことがあります。
感染症や炎症性疾患:頚椎自体が感染したり、炎症を起こすと、神経根症状が出る場合があります。
当院での治療方針
手術以外の薬物療法、ブロック療法、理学療法を行ないます。筋力低下や激痛が生じた場合は総合病院での手術療法を検討していただきます。
医師より
時間はかかりますが(時に3~6か月)多くの症例で自然経過的に軽快することが多いです。その間をいかに快適に痛みのない状態を続けるかが重要ですので、様々な治療で苦痛なく過ごせるお手伝いをさせていただきます。

頚椎症性脊髄症

頚椎症性脊髄症とは
脊椎の退行性変化により頸椎脊柱管の狭窄が生じ、上下肢しびれ感、上肢の巧緻性障害、下肢痙性跛行などの症状が生じる疾患を頚椎症性頚髄症と呼びます。背景に元々の脊柱管の狭さが原因となっていることが多く、後縦靭帯骨化症のある患者さんは特に注意が必要です。
原因
年齢:
高齢になると、脊椎の変性が進行しやすく、それが頚椎症性脊髄症の一因となる可能性が高くなります。老化や損傷によって、脊椎の骨に突起(骨棘)や靱帯の肥厚が形成されることがあります。これが脊髄や神経根を圧迫する場合があります。また、椎間板は、脊椎骨同士のクッションの役割を果たしていますが、年齢とともにその性質が変わることがあります。椎間板が痛んでくると、脊椎骨同士が接触しやすくなり、それが脊髄や神経根を圧迫する可能性があります。

外傷:
交通事故、スポーツによる怪我など、頸部にダメージを受けた場合にも頚椎症性脊髄症のリスクが高まることがあります。

リウマチ性疾患:
炎症性のリウマチ性疾患は、脊椎特に上位頸椎に影響を及ぼす場合があり、これが頚椎症性脊髄症の一因となることがあります。

遺伝的要因:
遺伝的な要素や家族歴も、頚椎症性脊髄症の発症リスクに影響を与える可能性があります。日本人は(Developmental Stenosis)は、生まれつき脊柱管が狭い状態の人が多いです。

生活習慣:
長時間のデスクワークや重いものを持ち運ぶ作業など、姿勢や生活習慣が脊椎に負担をかける場合も、頚椎症性脊髄症のリスクが高まる可能性があります。喫煙などのも悪化させる要素になります。
検査所見
病歴聴取と身体検査:
病歴を詳しく聴取し、身体検査で筋力、感覚、反射などを評価します。

X線検査:
脊椎の変形や骨棘(骨の突起)、狭窄(狭くなった脊柱管)の有無を確認します。

MRI検査:
軟組織(例:椎間板、神経)の状態を詳しく見るために使用されます。これによって、脊髄や神経根がどの程度圧迫されているのかを詳しく調べます。

CT検査:
骨の状態をより詳しく見るために使用されることがあります。

電気生理学的テスト:
神経伝導速度テスト(NCS)や筋電図(EMG)などのテストで、神経や筋肉の機能を評価することもあります。

ミエログラフィー:
造影剤を脊髄に注入する侵襲的な検査です。MRIの解像度が良好になってきた近年はあまり行われなくなりました。
造影剤を脊柱管に注入してX線撮影を行います。これによって、脊柱管内の構造や神経根の位置関係を動態による差を含めて詳しく観察することができます。その後CT検査を行なうことによってより正確な断面的な情報が得られます。
症状
手や腕のしびれ、痛み:
脊髄や神経根の圧迫によって手や腕に症状が現れることがよくあります。

歩行障害:
均衡感覚の喪失、足元が不安定に感じる、痙性跛行により転倒しやすくなるなど、歩行に関連する問題が起きる場合があります。

感覚の異常:
足や手に感覚が鈍くなる、または痺れるような感覚がある場合があります。

筋力の低下:
頚椎症性脊髄症が進行すると、上肢や下肢の筋力が低下する場合があります。

手のぎこちなさ:
細かい作業が難しくなる、ボタンを留めるのが難しくなる、といった手の不器用さ(巧緻性障害)が出現することがあります。

首や肩の痛み:
これは頚髄の直接的な症状でなく、頚椎症性脊髄症の進行に伴って出現する場合があります。

膀胱直腸障害:
高度に脊髄が圧迫されている場合には、排尿に困難、便意喪失を認めることもあります。
治療
■神経学的疾患
多発性硬化症:
頚椎症性脊髄症と同様に、多発性硬化症もしびれや筋力低下などの症状を引き起こすことがあります。

頚椎椎間板ヘルニア:
頚部の痛みや手足のしびれは、頚椎椎間板ヘルニアによる神経根圧迫によっても起こりえます。

末梢神経障害:
手や足に感じるしびれや弱さは、末梢神経自体が障害を受けている場合にも起こる。

■内科的疾患
ビタミンB12欠乏症:
神経症状を引き起こす可能性があり、特に高齢者では鑑別診断に含められることが多いです。

糖尿病性神経障害:
長期の高血糖により末梢神経が障害を受ける場合があり、症状が似ることがあります。

■その他
筋萎縮性側索硬化症(ALS):
しびれや筋力低下の症状が似ている場合があります。

脊髄腫瘍:
脊髄を圧迫する腫瘍が原因で神経症状が出ることがあります。

狭窄性脊髄炎:
炎症が原因で脊髄が狭窄する場合、似たような症状が出ることがあります。
当院での治療方針
頚部に大きな外傷ストレスが生じた場合に脊髄損傷が起こりやすい状態となっており、下肢しびれ感や歩行障害、巧緻性障害は手術してもすぐに完全に軽快するわけではない場合があるので、ある程度症状が進行する前に手術を勧めます。
医師より
上肢の巧緻性障害(ぎこちなさ)や下肢の痙性跛行(突っ張って歩きにくい)が見られたときは早めに手術すべきかと思います。椎弓形成術は頸椎手術の中では最も多く手技も確立されているので、うまくいく可能性が高いと思います。

斜頚(小児)

斜頚(小児)とは
小児斜頸(infantile torticollis)は、首が一方向に傾いてしまう状態を指し、出生時または生後しばらくしてから発症することが多いです。先天性斜頸と後天性斜頸にわかれ、治療法や予後が異なります。
原因
先天性筋性斜頸(先天性筋肉性斜頸):
これは生まれる前や出産時の外傷により、首の筋肉(特に背側の筋肉である背側斜筋)が短縮または収縮してしまうことが原因です。
この斜頸は生後数週間から数ヶ月で気づかれることが多い。
生まれた時点での頭部の位置や胎児の成長に関連した問題、あるいは出産時の外傷などが原因として考えられます。


後天性斜頸:
筋肉性の斜頸:寝違えや急な動き、外傷などによって、一時的に筋肉が痙攣することで生じます。予後は良好です。
脳性斜頸:大脳基底核異常による症状などがあります。
骨性の斜頸:頸椎回旋位固定など首の骨(頸椎)の損傷や異常で生じることがあります。
関節炎斜頸:稀ですが関節炎などが原因で発生することがあります。
機能性斜頸:これは身体的な原因が明確には見当たらないが、ストレスや心因性の要因によって首の筋肉が痙攣してしまう状態を指します。
症状
赤ちゃんの頭が一方向に傾いたままの位置で固定されているか、または一方向にしか向かない。筋性斜頸では向いている側の筋肉に腫瘤を触れることがあります。
治療
■理学療法
物理療法は小児斜頸の最も一般的な治療法です。

ストレッチ:
理学療法士は、親やガーディアンに首と肩の筋肉を伸ばすための特定のストレッチ方法を教えます。

筋肉の強化:
斜頸筋以外の筋肉を強化することで、首の正常な動きをサポートします。

ポジショニング:
赤ちゃんを反対側に向けることで首の筋肉を伸ばし、筋肉のバランスを取り戻す助けとなるポジショニングについて指導します。

ポジション変更:
家庭での日常的な活動も首の筋肉の伸張やバランスを助けることができます。赤ちゃんをベビーベッドやおもちゃで遊ばせる際、彼らが好んで向く方向の反対側に物を置いて、首を反対側に動かすことを促します。

器具:
一部のケースでは、頭部の位置を補正するための特別な器具やヘルメットが推奨されることがあります。

■手術
他の治療法が効果を示さない重度のケースや、筋肉が短縮してしまったケースにおいては、手術が必要となることがあります。手術は通常、斜頸筋を伸ばすことを目的としています。

■フォローアップ
治療の進行状況や赤ちゃんの成長とともに斜頸の状態がどのように変わっているかを確認するための定期的な医師の診察が必要です。

小児斜頸の治療は、症状の重度や原因、赤ちゃんの年齢や健康状態など、多くの要因によって異なります。したがって、最適な治療法を選択するためには、小児科医や整形外科医との継続的な相談が必要です。

頚椎椎間板ヘルニア

頚椎椎間板ヘルニア とは
頸椎の椎間板の変性により後方の脊柱管へ突出して神経根の圧迫が生じ、神経根症状が生じたり、脊髄全体を圧迫すると脊髄症状を生じる疾患です。神経根症の特徴は障害神経根の支配する皮膚知覚帯に一致した疼痛、放散痛、感覚障害です。障害レベルでの腱反射低下も認められます。一方で脊髄症状は障害レベル以下の四肢及び体幹のしびれや感覚障害、運動麻痺、巧緻性障害(手が使いにくくなる)、痙性跛行、膀胱直腸障害などを呈します。深部腱反射の亢進、バビンスキー反射の亢進などの病的反射もみられことがあります。
原因
背骨をつなぐクッションの役割をしている椎間板が主に加齢変化により後方に飛び出すことによって起こります。30~50歳代に多く、腰椎椎間板ヘルニアと異なり誘因なく発症します。
悪い姿勢での仕事やスポーツなどが誘因になることもあります。
治療
多くは薬物療法などの保存療法を行ないますが、難治性のものあるいは進行性の筋力低下が生じる場合は手術療法を選択します。

後縦靭帯骨化症

後縦靭帯骨化症とは
後縦靱帯骨化症(OPLL: Ossification of the Posterior Longitudinal Ligament)は、脊椎の後縦靱帯が異常に骨化(カルシウム沈着)する病態です。正確な原因は未だ完全には解明されていませんが、遺伝的要因、生活習慣、炎症などが関与していると考えられています。
原因
環境的・生活習慣的要因
遺伝的要因:
後縦靭帯骨化症は、家族内発生が多いことから、遺伝的要因が関与していると考えられています。これまでに、後縦靭帯骨化症に関与すると考えられる遺伝子がいくつか同定されていますが、これらの遺伝子が後縦靭帯骨化症の発症にどのように関与しているのかは、まだ完全にはわかっていません。

加齢:
後縦靭帯骨化症は、40歳代以降に多く発症します。これは、加齢に伴い、後縦靭帯の線維が硬くなり、骨化しやすくなることが原因と考えられています。

局所的なストレス:
後縦靭帯は、脊柱を支える重要な役割を果たしています。しかし、長時間同じ姿勢をとったり、過度な負荷をかけたりすると、後縦靭帯にストレスがかかり、骨化しやすくなると考えられています。

代謝異常:
カルシウムやビタミンDなどの代謝異常も、後縦靭帯骨化症のリスクを高めると考えられています。

その他の原因:
その他にも、糖尿病や肥満などの全身的な疾患や、椎間板脱出などの局所的な疾患が、後縦靭帯骨化症の発症に影響を与える可能性があると考えられています。
検査所見
問診:
症状や病歴について、医師が詳しく問診を行います。

身体検査:
神経学的所見や、脊椎の動きや触診などの身体検査が行われます。

画像検査:
脊椎のレントゲン写真、CT検査、MRI検査などの画像検査が行われます。

画像検査の所見:
後縦靭帯骨化症では、後縦靭帯が骨化した部分が、画像検査で白く映ります。

X線検査:
後縦靭帯骨化症の初期には、画像上ではっきりとした異常所見がみられないことがあります。しかし、骨化が進行すると、後縦靭帯が骨化した部分が、画像上ではっきりと確認できるようになります。

CT検査:
CT検査では、後縦靭帯の骨化の程度や、脊髄や神経根への圧迫の程度を詳しく評価することができます。

MRI検査:
MRI検査は、後縦靭帯の骨化の程度や、脊髄や神経根への圧迫の程度を詳しく評価するのに最も適した検査です。

その他の検査:
骨密度検査や神経疾患との鑑別に髄液検査などの検査が行われることもあります。
症状
頸部痛:
後縦靭帯骨化症の初期症状として、頸部痛がみられることがあります。頸部痛は、首を後ろに反らす、または長時間同じ姿勢をとると悪化する傾向があります。

上肢のしびれや痛み:
後縦靭帯の骨化が脊髄を圧迫すると、多くは両側の上肢のしびれや痛みが生じることがあります。しびれや痛みは、両手指に広がる場合もあります。

歩行障害:
後縦靭帯の骨化が神経根を圧迫すると、歩行障害が生じることがあります。歩行障害は、足の脱力やふらつき、足を引きずるなどの症状として現れます。突っ張ったような歩き方なので痙性跛行といわれています。

麻痺:
後縦靭帯骨化症が進行すると、麻痺が生じることがあります。麻痺は、手足の脱力や感覚障害、運動障害などの症状として現れます。

排尿障害:
後縦靭帯の骨化が脊髄を圧迫すると、排尿障害が生じることがあります。排尿障害は、尿意切迫感や頻尿、尿失禁などの症状として現れます。

後縦靭帯骨化症の症状は、発症部位や骨化の程度によって異なります。頸椎に後縦靭帯骨化症がある場合、上肢の症状が目立つ傾向があります。胸椎や腰椎に後縦靭帯骨化症がある場合、下肢の症状が目立つ傾向があります。
治療
・保存的治療
症状が軽い場合は、安静やリハビリテーションなどの保存療法で様子を見ます。

安静:
首を後ろに反らすような動きを避け、首を固定する装具を装着するなどの安静を保つことが大切です。

リハビリテーション:
痛みやしびれを軽減し、筋力や関節可動域を改善するために、理学療法や作業療法などのリハビリテーションが行われます。

症状が重い場合:
症状が重い場合は、手術によって後縦靭帯の骨化を摘出することがあります。

・手術的治療
進行したOPLLや、重篤な神経学的症状を伴うケースでは、手術的治療が選択されることがあります。手術の目的は、脊髄の圧迫を解除し、脊椎を安定化させることです。主な手術方法には以下のようなものがあります。

椎弓形成術:
この手術が一般的です。脊椎の後方からアプローチして、圧迫を解除します。

前方固定術:
脊椎の前方からアプローチして、骨化した靱帯を取り除きます。その後、脊椎を固定する可能性があります。単椎間のみの障害で後弯変形が強い場合などこの方法を考慮します。

脊椎固定術:
患部の動きを防ぐことで、痛みを軽減し、神経構造を保護します。すべり症を伴う場合には考慮されます。
鑑別診断
椎間板ヘルニア:
椎間板ヘルニアは、椎間板の一部が飛び出して、脊髄や神経根を圧迫する疾患です。後縦靭帯骨化症と症状が似ていますが、頸椎では上肢、腰椎では腰や下肢の痛みやしびれなどの症状が目立ちます。

脊椎管狭窄症:
脊椎管狭窄症は、脊椎管が狭くなることで、脊髄や神経根が圧迫される疾患です。後縦靭帯骨化症と症状が似ていますが、脊椎管狭窄症では、腰や下肢の痛みやしびれなどの症状が、歩いたり立ったりしたときに悪化する傾向があります。

脊椎腫瘍:
脊椎腫瘍は、脊椎にできる腫瘍です。後縦靭帯骨化症と症状が似ていますが、脊椎腫瘍では、しびれや痛みなどの症状に加えて、体温の上昇や体重減少などの全身症状を伴うことがあります。

多発性硬化症:
多発性硬化症は、自己免疫疾患によって、中枢神経系に炎症や脱髄が生じる疾患です。後縦靭帯骨化症と症状が似ていますが、多発性硬化症では、視力障害や排尿障害などの症状を伴うことがあります。

脊髄炎:
脊髄炎は、脊髄に炎症が生じる疾患です。後縦靭帯骨化症と症状が似ていますが、脊髄炎では、発熱や倦怠感などの全身症状を伴うことがあります。

末梢神経障害:
末梢神経障害は、末梢神経が損傷することで、しびれや痛みなどの症状が出る疾患です。後縦靭帯骨化症と症状が似ていますが、末梢神経障害では、手足の両側に症状が現れる傾向があります。
予防
後縦靭帯骨化症を予防する方法は現時点では見つかっていません。
当院での治療方針
誤って転倒し、頚部に強い衝撃が生じた場合、後縦靭帯骨化症がない方より脊髄損傷が生じる可能性が高くなるので注意が必要です。

胸郭出口症候群

胸郭出口症候群とは
胸郭出口症候群(Thoracic Outlet Syndrome、TOS)は、肩と胸の間にある領域(胸郭出口)で、神経や血管が圧迫されることによって引き起こされる疾患です。原因により神経型と血管型に分類されます。診断が非常に困難な場合があり、他の疾患との鑑別が重要です。
原因
上肢やその付け根の肩甲帯の運動や感覚を支配する腕神経叢(通常脊髄から出て来る第5頚神経から第8頚神経と第1胸神経から形成される)と鎖骨下動脈は、①前斜角筋と中斜角筋の間、②鎖骨と第1肋骨の間の肋鎖間隙、③小胸筋の肩甲骨烏口突起停止部の後方を走行しますが、それぞれの部位で絞めつけられたり、圧迫されたりする可能性があります。
その絞扼(こうやく)部位によって、斜角筋症候群、肋鎖症候群、小胸筋症候群(過外転症候群)と呼ばれますが、総称して胸郭出口症候群と言います。胸郭出口症候群は神経障害と血流障害に基づく上肢痛、上肢のしびれ、頚肩腕痛(けいけんわんつう)を生じる疾患の一つです。

肋骨の異常:
いわゆる「肋骨の病的な骨突起」や「頸肋」(首に存在する追加の肋骨)など。
筋肉の異常や肥大:スケーレン筋や胸鎖乳突筋など、特定の筋肉が通常よりも大きかったり、形状が異常である場合。

事故や負傷:
交通事故、落下事故などによる急激な外傷。
過度な使用または反復動作:例えば、特定のスポーツや職業による反復的な動き。

姿勢の問題:
長時間のコンピュータ作業、重いものを持つ仕事など、悪い姿勢が続くと、肩や首に負担がかかる可能性があります。

肥満:
体重の増加は、胸郭出口領域に余分なプレッシャーをかける可能性があります。

■その他
妊娠:
妊娠中は、体内の組織が緩むことで胸郭出口症候群の症状が現れやすくなる場合があります。

先天性要因:
生まれつきの解剖学的な違いや、特定の医療状態によって発症するケースもあります。
検査所見
なで肩の女性や、重いものを持ち運ぶ労働者で、前述の症状があれば、胸郭出口症候群の可能性があります。
鎖骨上窩の頸椎寄りのところの触診で、骨性の隆起を触れば頸肋の可能性が高いです。
腕神経叢部を押すと上肢に放散する痛みを生じます。

身体所見:
医師は患者の症状と体の特定の部分に対する反応を評価します。
腕のしびれや痛みのある側に顔を向けて、そのまま首を反らせ、深呼吸を行なわせると鎖骨下動脈が圧迫され、手首のところの橈骨動脈の脈が弱くなるか触れなくなります(アドソン テスト陽性)。
座位で両肩関節90度外転、90度外旋、肘90度屈曲位をとらせると、手首のところの橈骨動脈の脈が弱くなるか触れなくなり、手の血行がなくなり白くなります(ライト テスト陽性)。
また、同じ肢位で両手の指を3分間屈伸させると、手指のしびれ、前腕のだるさのため持続ができず、途中で腕を降ろしてしまいます(ルース テスト陽性)。
座位で胸を張らせ、両肩を後下方に引かせると、手首のところの橈骨動脈の脈が弱くなるか触れなくなります(エデン テスト陽性)。

神経伝導速度テスト/筋電図:
これらのテストは神経と筋肉の機能を評価するもので、神経圧迫の有無を確認するために使用されることがあります。

X線検査:
第7ときには第6頚椎から外側に伸びる頚肋がないかどうか、肋鎖間隙撮影(鎖骨軸写像)で、鎖骨や第1肋骨の変形によりこの間隙が狭くなっていないか確認することが必要です。

MRI/CT検査:
より詳細な画像を提供するこれらのテストは、軟部組織、血管、神経などを評価するために使用されることがあります。

超音波検査:
血流の問題を評価するために使用されることがあります。
症状
■神経型(Neurogenic TOS)
・腕や手、指に痛みがある
・手のしびれや痺れ
・肩や首の痛み
・手の力が弱くなる
・精密な作業が難しくなる

■血管型(Vascular TOS)
・腕が青くなるまたは白くなる
・腕や手に痛みや腫れがある
・手や腕が冷たく感じる
・手の痺れやしびれ
・脈が弱くなるなどの血流の問題

■非特異型(Nonspecific or Disputed TOS)
この種類は議論があり、明確な診断基準や症状が確立されていません。
治療
■非外科的治療
理学療法:
筋肉を強化し、姿勢を改善することで、神経や血管の圧迫を減少させる目的で行われます。胸郭出口症候群の症状が軽い場合は、上肢や肩甲骨周辺を吊り上げる僧帽筋や肩甲挙筋といった筋肉の強化を目的に、ストレッチなどが行われることがあります。

薬物療法:
痛みや炎症を抑制するための非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やなどが使用されることがあります。

ブロック療法:
痛みの緩和や炎症の抑制を目的とした局所的な治療もあります。前斜角筋ブロックや腕神経叢ハイドロリリースなどが有効なことがあります。

抗凝固薬:
血管型TOSで血栓が形成されている場合、抗凝固薬が処方されることがあります

生活習慣の見直し:
姿勢の改善、体重の減少、ストレス管理など。

装具:
肩甲帯が下がる姿勢が悪い症例には肩甲帯を挙上させる装具が用いられます。

■外科的治療
肋骨切除術:
追加の肋骨(頸肋)が原因である場合、それを取り除く手術が行われることがあります。

筋肉切除または形成術:
圧迫を引き起こしている筋肉組織を取り除くか修正します。

血管手術:
血管型TOSの場合、血管の修復やバイパスが必要な場合があります。
鑑別診断
頚椎症性神経根症:
頚椎の変性や障害が、手や腕の痛みやしびれを引き起こし、しばしば鑑別困難な場合があります。

肩関節周囲炎:
肩の筋肉や腱の炎症も似たような症状を引き起こすことがあります。

手根管症候群:
手首で中手神経が圧迫されることで、手の痛みやしびれが発生する症状です。

肘部管症候群:
尺骨神経が肘付近で圧迫されると、手や腕にしびれや痛みを感じることがあります。

多発性硬化症や他の神経疾患:
神経系に影響を与える疾患も、類似の症状を引き起こす可能性があります。

血管疾患:
血管の狭窄や閉塞により、手や腕に症状が出る場合があります。

腱鞘炎、滑液包炎、滑膜炎:
これらの炎症性疾患も関節や腱に影響を与え、似た症状を引き起こす可能性があります。

心因性の痛み:
精神的な要因も肉体的な症状を引き起こすことがあります。

筋筋膜性疼痛症候群:
筋肉や筋膜に関連した疼痛が、類似した症状を引き起こすことがあります。
予防
症状を悪化させる上肢を挙上した位置での仕事や、重量物を持ち上げるような運動や労働、リュックサックで重いものを担ぐようなことを避けさせます。
症状が軽いときは、上肢やつけ根の肩甲帯を吊り上げている僧帽筋や肩甲挙筋の強化運動訓練を行なわせ、安静時も肩を少しすくめたような肢位をとるよう指導します。
当院での治療方針
診断および保存的治療を行ないます。薬物療法、各種ブロックやハイドロリリースで痛みを緩和させてゆきます。補助的及び予防的にリハビリテーションも有効な場合があります。
医師より
時に診断が困難な場合があり、診断まで時間を要する場合があります。なかなか治らない上肢のしびれ感を伴う痛みがある方はご相談ください。

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