茨木市総持寺の整形外科・リウマチ・骨粗しょう症・リハビリ・ペインクリニック・スポーツ整形外科

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COLUMNコラム

2026.02.11

検診でリウマチ因子(RF:Rheumatoid Factor)陽性、要精査と言われた時~専門医が解説する受診するときに知っておくべき基礎知識

①はじめに

②基本説明:RF・抗CCP抗体・CRP/血沈・MMP-3は「未来のヒント」になることがある

③対応の選択肢:まずは「腫れがあるか」「炎症があるか」を確認する

④エビデンス解説:受診を考える「RFのカットオフ」と発症率(リスク)

⑤よくある質問・Q&A

⑥まとめ・行動喚起:RF陽性で「受診すべき基準」チェックリスト

⑦当院での取り組み

① はじめに

健康診断で「リウマチ因子(RF)が陽性(15以上)」と言われると、「私は関節リウマチなんでしょうか?」「すぐに治療が必要?」と不安になりますよね。
結論から言うと、RF陽性=関節リウマチ確定ではありません。一方で、“受診を急いだほうがよいRF陽性” もあります。この記事では、受診の目安(基準)を、症状と血液データ(抗CCP抗体、RFの値、炎症反応、MMP-3など)から整理します。

② 基本説明:RF・抗CCP抗体・CRP/血沈・MMP-3は「未来のヒント」になることがある

RF高値は関節リウマチのリスクファクターとなりえますが、そのほかにも重要な項目があります。血液検査でわかるRF・抗CCP抗体・CRP/血沈・MMP-3とリウマチの診断・予後について解説します。

リウマチ因子(RF)は、自己の免疫グロブリンG(IgG)のFc部分に対する自己抗体(主にIgM型)であり、関節リウマチ患者の約70%から80%で陽性を示しますが、その特異性は中程度に留まります 。リウマチ因子の基準値は一般的に 15 IU/mL 未満と設定されることが多いですが、健常な高齢者の10%から25%においても低値陽性を示すことが知られており、加齢に伴う免疫系の変化や、慢性感染症、肝疾患、他の自己免疫疾患(シェーグレン症候群や全身性エリテマトーデスなど)でも上昇する可能性があります(特異度が低い) 。

これに対し、抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA、一般的に抗CCP抗体)は、関節リウマチに対して極めて高い特異性(90%以上)を有しており、早期診断におけるゴールデンスタンダードとなっています 。抗CCP抗体は、関節リウマチの発症に先立って血中に出現することが確認されており、無症状のRF陽性者における将来の発症リスクを予測する上で最も重要な指標であると考えます 。喫煙者では陽性率が高い傾向にあります。

CRP血沈(ESR)は、関節リウマチ患者さんの活動性評価として重要です。体のどこかで炎症が起きていると上がりやすい「急性期反応(炎症のサイン)」です。関節リウマチでも活動性(炎症の強さ)に伴って上がることがあります。「炎症の検査が正常なら大丈夫」と思われがちですが、早期関節リウマチではCRP/血沈が正常の人が少なくありません。早期RAでは炎症反応が約60%で正常”という報告もあり、正常=否定にはなりません。そのためNICE(英国ガイドライン)では、CRP/血沈が正常でも、RFや抗CCPが陰性でも、臨床的に「持続する滑膜炎(関節の腫れ)」が疑われれば紹介を遅らせないよう明確に推奨しています。

さらに、関節リウマチの活動性や予後を評価する上で欠かせないのが、血清マトリックスメタロプロテイナーゼ-3(MMP-3)があります。MMP-3は関節内にある滑膜細胞から産生され、軟骨基質を分解する酵素であり、その血清レベルは関節滑膜の炎症(滑膜炎)の程度や軟骨破壊の進行と密接に相関します 。特に、CRPや赤沈(ESR)といった一般的な炎症マーカーが正常であっても、MMP-3が上昇している場合は、関節内部で潜在的な破壊が進行している可能性を示唆するため、リウマチ患者さんの予後を予測する観点からは極めて重要な指標となります。

イメージとしては、関節リウマチは「氷山」のように、水面下(症状が曖昧・まだ腫れていない時期)が存在します。水面下の氷の大きさを予想するのが抗CCP抗体でありRFです。

診断・分類基準となる(2010 ACR/EULAR基準)では、『罹患関節数』(0-5点)、『RF/抗CCP抗体』(0-3点)、『CRP/血沈』(0-1点)、『症状持続期間』(0-1点)のうち6点以上を関節リウマチと診断しますが、基本的に前提として“1か所以上の関節の腫れ(滑膜炎)”があることが重要です。

③ 対応の選択肢:まずは「腫れがあるか」「炎症があるか」を確認する

検診でRF陽性と言われたら、医療機関では主に次を確認します。

※治療(抗リウマチ薬など)は、診断や病勢評価のあとに適切に選びます。RF陽性など検査値だけで治療開始を決めることは通常ありません。

④ エビデンス解説:受診を考える「RFのカットオフ値」と発症率(リスク)

〇RF「15以上」で陽性でも、強く疑うのは“高値(高力価)”

国際的には、RFや抗CCP抗体は 「基準値上限(ULN)の何倍か」で考えます。

たとえば「ULN=15」なら、45超が“高値陽性”**に相当します(検査法で差はあります)。

さらに、一般住民を長期追跡した研究では、RFが高いほど将来の関節リウマチリスクが上がり、RF>100 IU/mLではリスクが大きく上昇します。特に条件が重なると、**10年で最大32%という推定も報告されています。
つまり、「15〜少し高い」と、「何十〜100以上」では意味合い(リスク)が違います。

〇抗CCP抗体陽性は「要注意」—“症状があるか”でリスクは跳ね上がる

一次医療(かかりつけ)で「原因がはっきりしない筋骨格症状があるが、腫れはない」人を追跡した研究では、抗CCP陽性の人の47%が炎症性関節炎を発症し、その大半が関節リウマチ(24/57)で、しかも多くが1年以内でした。

また、抗CCP抗体陽性でも最初はリウマチ未診断の集団を追った研究では、抗CCPの値が高いほど将来の発症率が上がり、高値(ULNの3倍超)では5年で約46%が関節リウマチへ進展しています。

〇「RF陽性+抗CCP抗体陽性」はさらにリスクが上がる

同じ研究で、抗CCP抗体高値にRF陽性が重なると、1年以内で32.1%、5年以内で約51.8%まで上がっています。
→ これが、検診のRF陽性でも抗CCP抗体を追加で確認する価値が高い理由
です。

〇症状(関節痛・腫脹・こわばり)があると“受診優先度”が上がる

「まだ腫れていない」段階でも、朝のこわばり自覚的な腫れこぶしが作りにくいなどは、将来の炎症性関節炎リスク評価に含まれます。
また、早期関節炎の紹介基準として、①3つ以上の腫れた関節、②MCP/MTP(手指・足趾付け根)の関与、③朝のこわばり30分以上などが提案されています。
NICE(英国)でも、持続する滑膜炎が疑われる場合は迅速な専門医評価を推奨しています。

⑤ よくある質問・Q&A

Q1. RFが陽性なら関節リウマチですか?
A. いいえ。RFは他の病気や健康な人でも陽性になりえます。症状・診察・抗CCP抗体などを合わせて判断します。

Q2. RFが15〜20くらいでも危ない?
A. “陽性”でも、国際的には「ULNの何倍か」が重要で、**ULNの3倍超(例:45超)**はより注意が必要です。

Q3. 抗CCP抗体が陽性なら、必ず発症しますか?
A. 必ずではありません。ただし、抗CCP高値やRF陽性が重なると発症率が上がり、研究では5年で約半数に近づく報告もあります。

Q4. 痛いけど腫れていないなら放置でいい?
A. 放置せず相談を。抗CCP陽性で症状がある人は、1年以内に進展する例が報告されています。

Q5. MMP-3が高い=リウマチ確定ですか?
A. いいえ。MMP-3は“炎症や破壊の勢い”の参考になりますが、診断は総合判断です。

Q6. 手指の関節は痛いですが、腫れているようには見えません。それでもリウマチの可能性はありますか?

A. はい、あります。関節リウマチの初期段階では、目に見える腫れ(臨床的滑膜炎)が出現する前に、関節痛だけが先行する「臨床的疑い関節痛(CSA)」というフェーズがあります 。この段階で関節エコー検査を行うと、内部で炎症血流が認められることがあり、早期治療の対象となる可能性があります。

Q7. 健康診断でRF陽性と言われましたが、親もリウマチなので遺伝が心配です

A. 関節リウマチには確かに遺伝的素因(HLA-DRB1共有エピトープなど)が関与しますが、それだけで発症が決まるわけではありません。一方で一親等以内にリウマチ患者がいる場合、ACPA陽性者の5年以内発症リスクは約53.6%と、家族歴がない場合(21.3%)に比べて高まるというデータがあります 。 

⑥ まとめ・行動喚起:RF陽性で「受診すべき基準」チェックリスト

〇早めの受診(できれば数週以内)をすすめたい方

〇すぐに慌てなくてよいケース(ただし“ゼロではない”)

⑦当院での取り組み

当院では多くのリウマチ患者さんの診断・治療に関わってきた専門医がリウマチまたはリウマチ性疾患にかかわる様々な症状に対して対応しています。RFや抗CCP抗体などリウマチに関わる血液検査(外注検査になるので結果説明は後日になります)、レントゲン、関節エコーなど対応が可能です。

『この程度で受診してもいいのか?』とか『リウマチ以外は診てくれないのか』という不安をお持ちの方も多数いらっしゃいます。RF陽性や手指関節痛でお悩みの方は自分で不安を抱えずに気軽にまず受診してください。必ずしもレントゲンや血液検査を行なう必要はないですが、少しでもリスクがありそうな方には検査を提案させていただきます。

不安が強いときほど、ネット情報は増えて混乱しがちです。「検査値の強さ(高値かどうか)×症状(腫れ・こわばり)×抗CCP抗体」でリスクは大きく変わります。気になる症状がある方、抗CCP抗体が陽性と言われた方、RFが高値の方は、早めに専門医に相談してください。

この記事を書いた人

中谷 宏幸
整形外科医、リウマチ医

整形外科専門医、日本リウマチ学会専門医・指導医。大阪大学医学部整形外科教室に入局リウマチグループに所属して、リウマチ医、下肢人工関節、足の外科医として基幹病院での勤務医を経て2022年なごみ整形外科リウマチクリニックを開業

専門分野

リウマチ性疾患の薬物治療、関節疾患(特に下肢関節)ペインクリニック(エコーガイド下ブロック・ハイドロリリース)、骨粗しょう症治療、足・膝・股関節、小児整形、リハビリテーション

受賞歴

日本リウマチ学会奨励賞
ISTU(国際超音波治療学会)Young investigator`s awardなど

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